メキシコの首都、シダデメヒコ(メキシコシティ)の西隣に位置するミチョアカン州は、遠くカナダから5000km近くの距離を毎年渡ってくる越境蝶がシンボルの自然豊かな州です。メキシコおきまりの砂漠とサボテンのイメージからは全く違った、緑豊かな森林や湖などが見られる地域があり、また独特な民芸品でも知られる州でもあります。 緑の森地帯には、素敵な温泉地もいくつかあり、シティからの気軽な週末レジャースポットとして人気がありました。その中でも、肌にいいと言われる温泉泥と緑のお湯が楽しめる、アスフレス温泉郷の中の一押し宿泊施設、エレンディラを紹介したいと思います。 |
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1: エレンディラの入口、基本車で行く場所なので、入口もドライブスルー形式です。 2: この地域は地熱地帯なので、あちこちに煙がもうもう。これは地熱発電所だそう。 |
森の中にあちこち湯けむりが立っているような温泉地帯には、いくつかのキャンプ場や日帰り施設がありました。その中で色々検討した結果、一番きれいそうな部屋と温泉プールがあるここエレンディラに泊って、有名な温泉泥を楽しめるロスアスフレス・スパナチュラルには日帰り利用で寄ってみることにしました。
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3: エレンディラのきれいに整備された芝生の中の温泉プール 4: 赤ちゃん、子供もプール感覚で楽しそうに入っています |
エレンディラは、広い公園のような敷地内に、温泉プールが7つあり、宿泊用キャビン(カバーニャ)と日帰り用脱衣エリア、バーベキューエリア、ちょっとしたレストランと売店がある、家族経営のような、アットホームな雰囲気の温泉リゾート(というよりきれいなキャンプ場)です。 まずチェックインしてキャビンで水着に着替えて、庭のプールへ。あちこちに点在する7つのプールは、それぞれ温度や形、深さなどまちまちなので、好みにあったお気に入りを見つけることができます。 温度はプールによって30~40℃というメキシコにしては日本人好みに近い温かさで、気候も穏やかな地区にあるので、ちょうどのんびり長湯できるような、心地よい温泉でした。炭酸とミネラルを含んだお湯は、薄緑、鶯色に濁っていましたが、あまりお湯の新鮮さが感じられなかったのが残念でした(プール状態なので仕方ないのですが)。 |
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5: 日帰りエリアの温泉プール、子供用の浅いプールもありました。 6: 敷地内は、木が動物型など可愛くカットしてあったり、ほのぼの不思議な雰囲気です |
ところで、宿泊用のキャビンですが、ベッドルームとシャワー、バスルーム、リビングダイニングキッチンといったつくりになっています。キッチンには冷蔵庫と流し、コンロ、ミキサー、食器が少々用意されていました(電子レンジはなし)。また、TVはありましたが、DVD再生専用らしく、普通のチャンネルは映りませんでした。 私が何より嬉しかったのは、自分で薪をくべられる暖炉つきなところ(もちろん薪も用意されています)。また、シャワーや流しなどは、メキシコ的には中級レベルの設備(タイル張りの簡素のもの)なので、シティホテルレベルのものを期待していると、ちょっとがっかりするかもしれませんが、そのタイル張りがメキシコらしくて、使い勝手の悪いキッチンも、私は可愛くていいなーと思いました。 |
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7: キャビン外観、長屋のようでいて、2部屋ごとに区切られています。 8: 暖炉のあるリビングダイニング、ちょっとした飾りが可愛かったです。壁の色も水色! |
コテージの数は20もない位なので、宿泊者エリアはのんびり人もまばらでしたが、日帰りエリアは週末だったせいか、わいわいとプールとバーベキューを楽しんでいる人たちでにぎわっていました(メキシコ人はレジャーというとなぜか必ずバーベキューをするのです)。そんな日帰りの人たちが帰ってしまうと、夕方以降はとっても静か、特に夜にひっそりとした薄明かりの中、夜空を眺めての温泉は最高です(ちょっと寒いけど)。また、早朝は、敷地の端に流れている小川付近を散歩したり、1泊2日しっかり楽しめました。出来る事なら2泊3日でもいいかも、と思ったほどでした。
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9: 一番温かくてお気に入りとなった温泉プール、ここでぼーっと夜空を眺める幸せ。 10: 別の大きな日帰り施設、唯一内湯(というか屋内プール)がありましたが、雰囲気はいまいち。 |
施設近くの観光スポットとしては、やはり世界遺産にも登録されている、モナルカ蝶(上にも書いた、越境する蝶)の森と、湖ラグナベルデ(直訳 緑の湖)とラグーナラルガ(直訳 大きい湖)などがあります。 蝶の季節は、1~2月、寒いカナダから温かいメキシコへと戻ってきて繁殖するそうです。また、ラグーナラルガには、滝を見るトレッキングコースや湖遊びようボートなどがあるちょっとした観光地になっていました。 |
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11: モナルカ蝶、木の枝がすべて蝶で覆い尽くされます。ぞわぞわしたものが苦手な人はダメかも。 12: 寄り道としてメキシコの人気陶器、セルビン焼きの工房とショップもお勧め。 |
のんびりと温泉に浸かって、バーベキューして、夜は夜空を独り占めしながら、ぼーっと湯に浮かんでみたり、寒くなったら部屋で暖炉に薪をくべながら炎を眺めてたり、とにかく時間がゆっくりと流れる贅沢な休暇スポットでした。 特に豪華な施設や設備があったりするわけではないし、周辺も何もない所なのですが、それが逆に、何か物事をじっくり考えたい時などには最適なリゾートだと思います。食料と本、DVDなどたっぷり用意して、メキシコ的なキャビンにゆっくり籠るのもいい体験ではないかと思いました。 <2009.8> |