塩原温泉郷は緑豊かな箒川沿いに数々の旅館が点在する、1000年以上の歴史ある温泉地です。塩原には11の湯元がありますが、新湯温泉はそのひとつ、「とちぎにごり湯の会」にも加入している塩原の中で最高所に湧く温泉です。 万治2年(1659年)の大地震で塩原元湯が山津波でほぼ埋没した時に発見された古い温泉ですが、大地震の爪あと、噴火口の地獄には今でも水蒸気が上がり、硫黄のにおいがたちこめています。 また、ここの温泉は、普通にお湯が湧出する形ではなく、温泉蒸気の噴気孔に注水して温泉を作る、蒸気造成温泉です(造成温泉は箱根大涌谷や福島の新野路温泉、岩手の網張温泉、富山のみくりが池温泉など結構沢山あります)。 |
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新湯の地獄周辺に3つの共同浴場、むじなの湯(男女別)、中の湯(男女別)、寺の湯(混浴)があります。 寺の湯は地獄のすぐ前、中の湯は寺の湯から丘に向かって登る方向に歩いて1分ほど、むじなの湯は寺の湯向かい、道路沿いの商店横の小道を降りていった所にあります。どの浴場も硫黄たっぷりの新鮮にごり湯が楽しめます。 |
1: 寺の湯外観、もみじライン沿いにあって、もくもくと湯気の湧く地獄前なのですぐ分かります。 2: 寺の湯の裏にある爆裂火口跡。 公衆トイレと駐車スペースがあって、ちょっとした休憩ゾーンになっています。 3: むじなの湯、民家の合間にこっそりと建っています。 4: むじなの湯の中の様子、常に入浴客がいっぱいなので浴室の写真は撮れませんでした。 5: 中の湯外観。ここが一番湯が柔らかいようです。 |
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入口前にある集金箱に勝手にお金を入れて中に入ると、3ヵ所どの浴場も、木で出来た歴史を感じる浴槽は定員3~5名ほどの小さなものでした。洗い場も木床のスペースがあるだけ(むじなの湯は昔混浴だったのを真ん中に板壁を作って男女別にしたので狭くなったそうです)。地元民愛用の浴場なので、常に人が入れ違いで入ってくる社交場?のような雰囲気でした。 シャワーなどはなく、また酸が強いので石鹸などは効きが悪いです。浴槽の湯を桶ですくって掛け湯、簡単に体を洗ってひたすらお湯に浸かるための浴場なので、きれいなお風呂で体を洗いたい!シャンプーしたい、という時には別の施設に行った方が良いと思います。 温泉は、濃い白濁の酸味のある湯で、むじなの湯が、酸性含硫黄-アルミニウム-硫酸塩温泉、源泉温度59.2℃、PH2.4、寺の湯(混浴)は、同じく酸性含硫黄-アルミニウム-硫酸塩温泉、源泉温度74.3℃、PH2.2と一番強い湯で、中の湯は、単純酸性硫黄温泉、源泉温度79.2℃、PH2.6と比較的ソフトな印象でした。 むじなの湯は木壁の一部に岩肌がむきだしになっていて、そこから熱い湯が流れ込んでいました。壁湧出だー!と感動しつつ、かなり熱めの湯にはゆっくり入れないのが残念でした(多分45℃ほど)。 以上、どの浴場も極上の白濁硫黄湯を気軽に楽しめて、それに加えて素晴らしいのは浴室内は浴槽だけでなく壁も天井も木だということ、湯治場好きにはたまらないと思います。難を言えば、狭くて人が多いこと。この極上の湯にゆったりと浸かりたい、と思うのですがいつも人がわさわさいるので次回は早朝を狙うしかないのかな、と思っています(朝7:00~)。また混浴の寺の湯は、怪しいカップルがいちゃついていたり、温泉旅館に来ている団体おやじ客が宴会ノリで使っていたり、客層があまり良くないこともあるのはなんとかならないのでしょうか、いい湯だけに残念です。 <2006.10> |