|
河内温泉は、伊豆下田からすぐの蓮台寺駅から近くにあり、金谷旅館はその一軒宿です。 周辺は、特に温泉街というわけではなく、下田の町外れといった感じでぽつぽつと住宅が並ぶよくある田舎町が広がっています。そんな中にぽつっと建つ金谷旅館は、130年ほどの歴史のある江戸末期からの宿だそう。現在の建物は昭和4年築の木造の本館と、離れて増築された洋室もある別館があります。また、オーナー家族の趣味から、ダンスホールと天文台も作ってしまったそうで、宿泊者も利用できます。そして、何よりの旅館の名物は、伊豆で一番大きいという木造の大浴場でしょう。 |
|
| ||||||||
 |
とても味のある建物、外観 周辺の普通の町からは別世界、古きよき時代を感じさせる造りになっています。門をくぐった時点で、なんとも懐かしいレトロムードが漂っていました。中も、ちょっとした小物から家具まで古い物を大切に使っていて、ランプシェードなどもレトロな物を選んでいて雰囲気がよかったです。 |
 |
 |
 |
| 3. | 4. | 5. |
|
3： 千人風呂には、不思議なオブジェが並んでいます。湯気がこもって幻想的。 4： 万葉の湯の洗い場、シャワー付の場所もあります。 5： 女性専用露天風呂。万葉の湯から出れるようになっています。 |
|
館内には、有名な千人風呂（混浴、とはいえ男性用に近い）と女性用の万葉の湯、それぞれに露天風呂が各1つと家族風呂があります。 千人風呂には、女性用脱衣から一方的に入れるようになっています。大きさは15×5mほど、これだけ大きな木造風呂はそうないです。また、後から出来た女性専用の万葉の湯も、大きさは千人風呂の3分の2ほどですが十分大きくきれい、しかもただ広いだけの浴槽とは違って、3段階の湯温＋2段階の深さに区切られていて、湯巡り気分を味わえるのがとてもよかったです。とにかく総木造のお風呂は肌にも目にも優しく本当に癒されます。 |
 |
お湯は、無色透明、PHは8.5ほどの弱アルカリの単純泉、自家源泉からたっぷりの湯が広い浴槽に常に注ぎ込まれています。強い個性のある湯ではないですが、滑らかな湯は飲泉も可能とのこと。 成分表はこちらからどうぞ。 一応露天風呂も混浴横、女性専用と2つあります。といっても、後から作られたものらしく、塀に囲まれてあまり大きくなく（定員3,4名ほど）、あえてここで入るようなお風呂ではありません。露天より内湯のほうが開放感があるっていうのも変ですが、結局は気持ちのよい内湯にすぐ戻ってしまいました。 以上、この広々木造湯の素晴らしさは、それだけで一見の価値のある印象的な旅館でした。近くに寄ったら是非立ち寄りだけでもしてみてほしい（本当は泊まってのんびり入った方がいいのはもちろんですが）、そんなお風呂です。 |
|
それにしても、「伊豆の名物となるようなお風呂を」と思い立ってそれを作ったオーナーの先見の明だけで、周辺の町の味気なさやアクセスも東京から近いわけでもないこの立地条件において、お湯もいい湯ですが特別印象的なわけでもなくて、それでいてこれだけ温泉ファンをひきつける宿が作れる、というのはすごく勇気付けられる話だと思いました。やはり本当にいい物を造れば人はついてくる、ということでしょうか。そんな事を思ってしまう極上のお風呂でした。 <2003.11>
|
