ジオメトリカス温泉の衝撃は、未だ私をとらえてやみません。 世界のトップ10温泉の一つに数えられると書いたサイトがありましたが、まさに私もそう思います。 ジオメトリカスは、チリ中部のアンデス山脈のすそ野、ビジャリカ火山を含むビジャリカ国立公園近くにあります。近くに温泉で有名なPuconなどがある、日本ともつながる環太平洋火山帯に入る温泉地帯です。 ジオメトリカスに着くと、まず目に飛び込んでくるのは日本の神社の鳥居のような朱色と黒の建造物や、日本風露天風呂。明らかに日本の温泉に影響を受けつつ、それでいてその日本テイストを上手く消化しチリの環境に合わせてより素晴らしい施設を作り上げている様に、頭をがーんと殴られたような衝撃を受けました。 |
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1: こんな道を行きます。牛が普通に歩いているので運転注意! 2: 施設入口、緑の背景に赤の門が冴えます。 |
温泉へのダート道は一応1年中普通車で行けると言われましたが、雨の後などだと普通車は結構大変だと思います。出来ることなら四駆がお勧めです。(特に冬などは) 温泉の入口はそっけない小さなブースですが、そこから渓流沿いを奥へと進んでいきます。両側が崖に囲まれた細い谷川の上に、やはり赤く塗られた木のデッキがひかれています。ちょっとした秘境探検のような気分で進んでいくと、少し開けた空間に、小さなカフェと赤い広場がありました。 |
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3: 両側を崖と森に囲まれて、まさに秘湯といった趣です。 4: 入口広場、横に小さなカフェ、段差上にはぬるめの露天プール、奥の小屋は脱衣場です。 |
地図によると、なんと25個もの浴槽が渓流沿いに点在している様子。渓流に削られて作られたくぼんだ地形を上手く活かして、各建造物、プールや通路が作られていました。もし施設が廃止になったらすぐ元の自然な状態に戻せるような、自然に手をなるべく加えない、エコフレンドリーな造りが本当に素晴らしいです。見た目が日本風の温泉ですが、ここに匹敵するような日本の施設をすぐに思い浮かべられないのが残念でした。
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5: 一番奥にあるのは滝。滝つぼのプールはさすがに冷たかったです。 6: カフェの真ん中には炭がたかれた暖炉が。 7: 「AguaMuyCaliente(とても熱い湯)」という嬉しい看板。でも40℃位でした。 8: 奥から見たカフェ、屋根は緑化されています。 9: 渓流と通路、そしてその横に熱い湯をひいている樋が敷いてあります。 |
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10: 施設内マップとカフェメニュー。浴槽が点在している様子が分かります。 11: ここだけ見たら、ここが南米の温泉とは思えないような渓流横の露天風呂。 |
とにかくあちこちに浴槽が点在していて、温度も眺めも様々なので、自分のお気に入りを探すのが楽しいです。 浴槽温度は冷水~40℃、大体が35~39℃と書いてありました。10月(チリでは春)に行ったのですが、まだ少し寒い気候だったので、熱いプールにだけ浸かっていました。1年中開いていますが、冬はかなり寒いと思います。 ぽつぽつとお客さんはいましたが、何しろ細長く浴槽も沢山ある施設なので、ほぼ貸し切りに近い状態で楽しめました。とにかく静か、渓流のせせらぎだけが響いています。 |
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12: 浴槽からあふれ出た湯はそのまま渓流へ。本当に自然のままの温泉です。 13: どこを切りとっても絵になる不規則で、それでいて自然に優しいデザインです。 |
お湯に入って小腹が減ったらカフェへ。暖炉の火をぼーっと見ながら、チリの家庭料理的なスープを味わう贅沢。ホットチョコレートやオーブンで焼かれたサンドイッチなどもあり、温泉施設の休憩所というよりは、チリの田舎の暖かさを感じる可愛らしいカフェでした。 アンデス麓の国立公園の森で、そっと自然に寄り添うようにあるこの温泉は、エコフレンドりーでありながら単なる野湯ではなく、必要最低限なものはしっかり整っていて(例えば、突然入りたくなった人用に水着レンタルサービスもあります)、より気軽に、より気負わないで自然の恵みを味わえるような、よく考えられた素晴らしい施設でした。 デザインしたのはGerman del Solという、チリ優秀建築賞も受賞したことのある、ホテル建築などで有名な建築家だそう。他にもプリタマ温泉のデザインもしているので、そちらも行ってみたくなりました。にしても、著名な建築家が日帰り野天をデザインしているチリってうらやましすぎる!と思わずにはいられない、素晴らしい温泉でした。 <2009.10> |